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K A M O M A I L

ネコに煮干しをあげてください。

ろくがつのゆううつ

日日

雨の音で目がさめて、早朝の考え事。
しめっぽい空気のなかで、自分をうかびあがらせることばを探索中。

お父さんの「体で考えちゃいけんのんよ、頭で考えんと」とか、お母さんの「どうせ砂粒みたいな人生でしょうが、そんな砂粒でも大事なええ砂粒じゃ思うてくれる人がおるだけでしょうが」「ひとりで遠いに行かんでええんよ」とか、お気に入り。

こないだ帰省したときにお父さんが「こころに残るようなことばはなかなかないねえ」と言っていて、「別にそんなことばばっかり探しとらんもん」とついいらっとしてしまったけど、そんなことはないよ、って言ってもよかったかな・・・
いや、よろこぶからそんな簡単には言ってあげない。

 

室生犀星の『室生犀星氏』
よい。

みやこのはてはかぎりなけれど
わがゆくみちはいんいんたり
やつれてひたひあをかれど
われはかの室生犀星なり
脳はくさりてときならぬ牡丹をつづり
あしもとはさだかならねど
みやこの午前
すてつきをもて生けるとしはなく
ねむりぐすりのねざめより
眼のゆくあなた緑けぶりぬと
午前をうれしみ辿り
うつとりとうつくしく
たとへばひとなみの生活をおくらむと
なみかぜ荒きかなたを歩むなり
されどもすでにああ四月となり
さくらしんじつに燃えれうらんたれど
れうらんの賑ひに交はらず
賑ひを怨ずることはなく唯うつとりと
すてつきをもて
つねにつねにただひとり
謹慎無二の坂の上
くだらむとするわれなり
ときにあしたより
とほくみやこのはてをさまよひ
ただひとりうつとりと
いき絶えむことを専念す
ああ四月となれど
桜を痛めまれなれどげにうすゆき降る
哀しみ深甚にして座られず
たちまちにしてかんげきす

えっと、もうろくがつですけどね。