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K A M O M A I L

ネコに煮干しをあげてください。

『ビニール傘』

父が亡くなった。
病の床で、大人になってはじめて、長い時間をともにした。時間があれば、手を握ったりからだをさすったりして、父自身の昔の話やらたあいのない話やらをぽつぽつと話した。

人の記憶や認識は一つに定まるのだろうか。ふだんは一つに定まると思っている、だって自分は、自分の脳みそは一つなのだから。
実は一つのことでも、同じ人が語っていても、角度によってはふるふると震えるように、あの時とこの時で語られる認識が異なっている。どちらが正しいわけでもまちがっているわけでもない、ほんとうでありうそである、語られる切実さがある。
この本を読んで、父とはそういうことを話した、と思った。

差し込まれる大阪の風景に手をそえると、ふと父の手が思い出されて(記憶の中の父の手は自分の手と似ているような気がする)、きゅっと目をとじた。

ビニール傘

ビニール傘

 

 

かえるさんは減酒を心がけるそう。曰く「かもべえが『長生きしてくれ』って言うから」。
いいヤツだな!